top of page

正規ルート:俺|朗読台本・フリー台本

 

いきなり呼び出してすまない。いやなに、君にしかこんな話ができなくてな。俺はほとほと嫌になったよ。なんだって転生者なんかに……、はぁ。君は知っているだろうが、俺は勇者だ。勇者養成学校で勇者学を学び、勇者適正審査をクリアし、こうして勇者認定試験の資格書も持っている。それなのに、あの男!たかだか転生してきた異界からの勇者というだけで、国家勇者に認定されてしまった。まったく、王も大臣も何を考えているんだ。この国だけでも資格書持ちは80人、国外と合わせれば30000人の勇者がいるんだぞ。それなのに、なんだってなんの資格も持たない上にこの国と関わりのない男なんかが……。なぁ、転生者ってそんなに偉いのか?真面目に勇者を目指し熱心に勉強してきた俺みたいなやつよりも?どうしてこんなに悔しい思いをしなきゃならないんだ?あぁ、本当に、嫌になる。

――話したらだいぶすっきりしたよ。付き合わせて悪かった。それにしてもずいぶん顔色が悪いな?君、君は……。

bottom of page